三角形土版・三角形岩版

三角形土版は、角が丸みをもった平面三角形形状や二等辺三角形形状を呈し、底辺が5cm前後、等辺が6cm前後、頂点から底辺までが約5cmを前後とする大きさを普通とする土製品である。表面は緩やかなアーチ状に膨らみ、原則的には二等辺三角形の底辺を上位に、頂点を下位として、その縦位の中心軸に対して対して左右対称の文様が施される。裏面は表面とは逆に内湾しており、無文でよく研磨されている。直。その断面がアーチ状をなすもののほかに、表面が膨らみ、裏面が平坦ないわゆるカマボコ状を呈するものや表裏面が平坦な板状をなすものもある。さらに土製品の他に軟質岩を使用した同種のもので、三角形岩版も存在する。

装身具説は三角形岩版には応用できないし、土偶説も賛成できない。三脚土器の使用目的が実用として、他は信仰に関与するものと考えを提示したい。

(成田英子)

縄文文化の研究 9 縄文人の精神文化 3 第二の道具 三角形土版・三角形岩版 金子拓夫