岩偶

➀「土偶をそのまま石で作ったもの」ではなく、土偶とは異なった形態を意図して製作されたものである。

②大きさには種々のものがあるが、破片資料が多いために一定の傾向をとらえることはできない。

③多くが馬淵川流域及びその周辺地域に分布し、同流域に発生を求めることが可能である。青森県西部では若干例が出土している。また秋田県ではい形態のものが出土している。その他の地域での出土例は知られていない。

④分布圏の周辺で岩偶と同様の形態をとる土偶が出土することがある。

⑤ ③を石材入手の容易さだけで説明するのでは不十分である。他の地域で岩偶を受け入れないような事情を想定すべきである。

⑥東北地方北部では岩版・土版(馬淵川流域)と石剣類(青森県西部)は異なった分布を示す。岩偶は岩版と同様、馬淵川流域で発生したものだが、分布を拡大できなかった点で岩版と大きく異なるものである。